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地域:日本


香港経済貿易統計

2015年6月1日

香港の経済・貿易情報

 

◇要点

・香港経済の2015年1-3月期実質経済成長率は前年比1%増(2014年通年は前年比2.5%増)。2015年通年の経済成長率は1-3%増の見込み。

・観光客数の伸び悩み、観光支出の低調が顕著となり、2015年1-3月期の名目小売売上高は前年同期比2.3%減となった(2014年は前年比0.2%減)。

・労働市場は厳しい状況で、季節調整済み失業率は2015年2月-4月期に3.2%と、過去17年間でほぼ最低を記録した。

・消費者物価指数は2015年1-4月期は前年同期比4%増(2014年は前年比4.4%増)。近いうちにインフレ圧力が抑制される見込み。

・製品輸出は2015年1-4月期は前年同期比2.3%増(2014年は前年比3.2%増)。世界の貿易環境は引き続き困難もあるが、輸出は緩やかに改善する見込み。

 

◇主要経済指標

主要経済指標

◇製品貿易動向

製品貿易動向

◇サービス貿易動向

サービス貿易動向

 

◇香港・日本間の製品貿易(2014年1月-12月)

香港・日本間の製品貿易

◇経済の現況

・世界で最も自由な経済

・世界で最もサービス業主体の経済(GDP全体の90%以上をサービス業が占める)

・アジア域内で中国本土に次ぐ第2位の海外直接投資(FDI)受け入れ国・地域

・アジア域内で日本、中国本土に次ぐ第3位の海外直接投資(FDI)実施国・地域

 

1.最近の動向

香港経済の実質成長率は2015年1-3月期で前年比1%増となった(2014年は2.5%増)。世界的な製品輸出の低迷に伴う世界的な経済回復の鈍化、観光客数の低迷が響いた。2015年1-3月期の個人消費は前年比3.5%増(2014年は3.2%増)。機械・設備の購入を含む投資支出は、2015年1-3月期で前年比14.2%増と伸びた(2014年は6.5%減)。一方、2015年1-3月期の製品輸出は前年比0.4%増、サービス輸出は同0.6%減となった(2014年は製品輸出が同0.8%増、サービス輸出が同0.9%増)。2015年については、香港の外需(域外需要)は不安定な世界経済に影響され、先進市場は低迷しているが、香港の内需(域内需要)は安定した原動力となる見込み。香港政府は5月の経済予測の中で、2015年通年の香港経済について、1-3%成長が見込めるとした。

観光客数の伸び悩み、観光支出の低調が顕著となり、2015年1-3月期の名目小売売上高は前年同期比2.3%減となった(2014年は前年比0.2%減)。労働市場がひっ迫する中で2015年2-4月の失業率(季節調整値)は過去17年間で最低水準に近い3.2%となった。一方、2015年1-4月期の消費者物価指数は前年同期比4%(2014年通年は4.4%)増だった。短期的にインフレ圧力は抑制され、世界の食糧・商品価格の軟化傾向は国際価格を抑える見込み。一方、香港のコスト圧力は穏やかになる見通し。

2014年通年の海外から香港への来訪者数は約6080万人と、香港の人口の8.4倍相当となった。うち、中国本土からの来訪者数は全体の78%を占めた。2015年1-4月期の香港への来訪者数の伸び率は前年同期比3.9%増で(2014年通年は12%増)で、このうち中国本土からは前年同期比6.1%増となった(2014年通年は16%増)。なお、2014年通年は、海外から香港への来訪者による観光消費支出が前年比8.5%増の3590億香港ドルとなっていた。

香港経済の4大基幹産業は「貿易・物流(2013年の付加価値ベースGDPの23.9%の割合)」、「観光(同5%の割合)」、「金融サービス(同16.5%の割合)」、「専業サービス・その他生産性サービス(同12.4%の割合)」となっている。一方、香港が今後のさらなる成長に当たって明らかな優位性を持つ6大産業として、「カルチャー・クリエイティブ」「医療サービス」「教育サービス」「イノベーション・テクノロジー」「テスト・認証サービス」「環境産業」があり、これらは2013年の付加価値ベースGDPの9.1%の割合を占めた。

2.政府予算と政府主導

梁振英(CY・リョン)香港行政長官は2015年1月14日に施政方針演説を行い、景気対策、住宅供給増加、香港の人材の活用に関しての新しい政策を明らかにした。経済面では、貿易、金融、船舶輸送、観光、その他専門的なサービス、また将来性のある新興産業に対して支援を継続する。住宅面では、さらなる住宅・商業開発用地を供給するための取り組みと、住宅48万戸の供給を目標とした政府の10年計画に関して包括的な報告を述べた。また貧困緩和、老人介護、環境保護、医療、教育、青少年育成の構想と、人口動態の変化がもたらす課題に取り組むため、5つの新しい施策(退職年齢の延長、地域人材の育成、海外からの有能な人材の誘致、女性と社会的に恵まれない人々の就職支援)を発表した。

曽俊華(ジョン・ツァン)財政長官は2015年2月25日に発表した2015年度財政予算案の中で、香港の長期的な経済発展に向けて、数多くの援助と各種税制措置、さまざまな戦略を明らかにした。具体的には、(ⅰ)少額融資制度の拡大によるベンチャー企業や技術系企業への支援、(ⅱ)技術革新基金への50億香港ドルの追加出資、(ⅲ)文化・クリエーティブ産業振興に向けたフィルム発展基金への2億香港ドルの追加出資、(ⅳ)基幹産業の競争力強化に向け、今後3年で2300万香港ドルをめどに、中小企業に対する知的財産(IP)コンサルティング、人材育成、その他サービスの提供--などの施策が含まれる。

2003年に導入された中国・香港経済緊密化協定(CEPA)は香港―中国本土間の市場自由化拡大、経済協力のための貿易・投資促進のため2004年から2013年までに10の補充文書が調印された。現在、香港原産品(いくつかの禁制品を除く)はCEPAのもと、無関税で中国本土に輸出することができる。香港のサービス業者は中国市場に参入する際にこの優遇措置を享受できる。CEPAではまた、相互資格認定などについても多くの合意が形成された。

中国政府と香港政府は2014年12月18日、広東省と香港の間でサービス貿易を基本的に自由化する合意文書に調印した。合意内容は2015年3月1日から実施される。同自由化の具体的な制度づくりに当たっては、ポジティブリスト方式とネガティブリスト方式を併用する手法を採用する。今回の自由化協定は、広東省で先行された試験的措置に比べ、その内容がより広く深いものとなっている。

CEPAの詳細や最新状況、CEPAが香港に与える影響については、こちら(http://cepa.hktdc.com/)を参照ください。

 

3.投資の流れ

香港は外国直接投資(FDI)の極めて魅力的な市場である。国連貿易開発会議(UNCTAD)の2014年世界投資報告書(World Investment Report)によれば、2013年の海外から香港へのFDIは770億米ドル、米国(1880億米ドル)、中国本土(1240億米ドル)、ロシア(790億米ドル)に続く規模となった。一方、FDIの投資元としては、香港は米国(3380億米ドル)、日本(1360億米ドル)、中国本土(1010億米ドル)、ロシア(950億米ドル)に次ぐ世界5位で、香港からのFDIは920億米ドルとなった。

政府調査によると、香港の直接外来投資は2013年末で約1兆3440億米ドルと推定され、同年のGDPの4.9倍あまりの規模となった。こうした直接外来投資の大きな特徴として、タックスヘイブン(租税回避地)のペーパーカンパニーによる香港への間接移転資金が大部分を占める点があげられる。こうした背景から、2012年は、英領バージン諸島が全体の33.7%、オランダが6.6%、バミューダが5.9%を占めた。これらのタックスヘイブンを除き、中国本土は香港にとって最大の投資元であり、全体に占める割合は31.9%となった。その他の主な投資元は、米国(全体の3.3%)、シンガポール(2.2%)だった。大部分の投資は、投資、ホールディング、不動産、専業・ビジネスサービス、銀行、輸出入、卸売、小売などを含むサービス業に関連したものだった。

香港での事業展開に関する詳細情報と支援については、インベスト香港の公式ウェブサイトInvestHKを参照ください。

 

◇最近の貿易実績

・世界第8位の貿易額

・世界第15位の商業サービス輸出地域

香港の製品輸出額は2015年1-4月期は前年同期比2.3%増(2014年通年は3.2%増)。主要輸出先は中国本土(輸出全体の54%)、米国(同9%)、EU(同9%)、ASEAN(同8%)、日本(同4%)など。2015年1-3月の主要輸出先への輸出額の前年同月比の増減は、中国本土(1.1%増)、米国(6.2%増)、EU(0.8%減)、ASEAN(15.2%増)、日本(5.7%減)だった。また、香港の製品輸入額は前年同月比0.3%増となった(2014年通年では3.9%増)。貿易赤字は201億米ドルと、製品輸入総額の12.2%に相当する規模だった。香港の貿易実績は、香港企業の大部分が生産拠点を広東省に拡大している関係から、広東省での生産活動の影響を受けることに注意を要する。2014年の香港から中国本土への輸出全体のうち29.3%が、香港企業による本土での生産活動に関連したもので、内訳は国産品輸出が15.5%、再輸出品が29.5%だった。

香港の製品輸出は緩やかに成長する見込みだが、デフレ圧力や先進国の成長低迷、貿易ブロックの増加、地政学的緊張の高まりは輸出見通しの潜在的な脅威として残っている。供給者側について見ると、香港の輸出業者は中国本土、特に珠江デルタ地域において、投入コストの上昇による生産環境の悪化に直面している。

 

◇中国本土との経済関係

・中国本土にとって最も重要な中継貿易拠点

・中国本土にとって最大の外国直接投資(FDI)実施国・地域

・中国企業にとっての主要オフショア資金調達センター

・中国本土は香港にとって最も重要な対外投資相手

香港はこれまで中国本土にとって最も重要な中継貿易拠点となっている。香港政府統計処によると、2014年は再輸出の60%が中国原産品で、海外から香港への輸出の54%が中国本土を仕向地としていた。一方、中国本土の税関統計によると、中国本土にとって香港は、米国に次いで二番目に大きい貿易相手で、2014年には香港との貿易が中国本土の貿易額全体の8.7%を占めた。

香港は中国本土に対するFDIの最大の投資元である。2013年末までに中国本土で認可され外資系投資プロジェクト全体に占める香港関連の割合は44.3%だった。香港から中国本土への実際利用資本流入額は累積で6646億米ドルと、資本流入額全体の47.7%を占めた。

一方、香港は中国本土への最大の投資元となっている。2014年末の中国本土で認められた海外投資プロジェクトのうち44.5%が香港からの投資であった。香港からの累計投資額は、実行ベースで総額7459億米ドルと、中国への投資額全体の49.3%に相当する規模だった。

2015年2月時点で、中国本土で設立された銀行のうち、香港で営業免許を取得しているのは銀行11行と駐在員事務所5カ所である。中国銀行、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行などの大手行は、既に香港に支店を開設している。北京銀行、東莞銀行、渤海銀行、広発銀行、平安銀行などの商業銀行も香港に駐在員事務所を置いている。

香港はまた、中国本土の企業にとって、主要なオフショア資金調達センターである。2014年12月時点で、中国本土企業876社が香港に上場し、H株やレッドチップ、民間企業株を構成。時価総額は合計1兆9000億米ドルと、香港の時価総額全体の60.1%を占めた。1993年から現在までに中国本土企業は香港での株式公開によって4000億米ドル以上の資金調達を行った。

2014年11月、上海、香港の両証券取引所で株式の相互取引が開始された。中国資本市場の開放と人民元国際化の特筆すべき進展であり、中国本土の経済、金融改革における香港の戦略的立場が明らかとなった。

◇リージョナル・センターとしての香港

・地域本部(リージョナル・ヘッドクオーター)および駐在員事務所としての人気拠点

・アジア太平洋地域における重要な通信拠点

・人民元オフショア取引の最重要拠点

・世界一繁忙な国際貨物取扱空港を提供する拠点

・世界クラスの繁忙なコンテナ取扱港湾を提供する拠点

・アジア第2位のプライベート・エクイティ取引拠点

・アジア第3位、世界第7位の証券取引拠点

・アジア第3位、世界第6位の外国為替取引拠点

 

香港は多国籍企業がアジア太平洋地域、特に中国本土での事業を統括する地域本部(リージョナル・ヘッドクオーター)および駐在員事務所を設置する場所として人気がある。政府調査によると、2014年6月時点で、香港以外に本拠を置く企業が香港に設置した地域本部および地域事務所は5年前に比べて6%増の計3784拠点に達した。これらの拠点の80%は中国本土の事業経営を担っており、香港が中国本土とのパイプ役となっている。こうした拠点は多様な国々の多様な業種からなる。国・地域別では、米国(全体の21%)が最も多く、次いで日本(同19%)、英国(9%)、中国本土(7%)となった。業種別では、輸出入・卸売、小売が計52%と過半を占め、専門サービス・ビジネスサービス・教育サービスが計18%、金融・銀行が計12%、運輸・倉庫・国際宅配サービスが計7%となった。

香港はアジア太平洋地域の重要な金融センターとなっている。2014年末時点で、正規認可を受けた金融機関が203社、駐在員事務所が63カ所を数える。正規認可を受けた金融機関による国際貿易関連の融資額は計696億米ドル、その他融資額は計2822億米ドルに達する。国際決済銀行(BIS)によると、香港はアジア第3位、世界第5位の外国為替取引市場であり、2013年のネットベースの平均単日取引額は2750億米ドルだった。

香港のオフショア人民元取引は、中国中央政府が2009年7月に中国本土5都市を試験地域に選定して人民元建て貿易決済を開始したことが契機となり、拡大した。これにより香港は貿易金融、人民元建て証券、人民元建て債券、人民元建てファンドを含む人民元建て金融商品・サービスの供給を拡充することに成功した。これ以降、2014年末までに、香港の対外人民元送金額は計15兆元以上、香港の人民元建て得意先預金は計1兆元に達した。香港での人民建て債券(点心債)の発行額は2014年に1970億元となった。

2014年末には、香港証券取引市場は時価総額ベースでアジア第3位、世界第7位となった。香港証券取引所への上場企業数は1752社で、うち204社は成長企業市場への上場企業、時価総額は3兆2000億米ドルだった。香港はまた、2014年末に、プライベート・エクイティ・センターとしてアジア第2位(域内シェアは約19%)となった。

香港はまた、アジア太平洋地域の重要な通信ハブである。通信インフラの普及率は、住宅用固定電話回線が100%超、住宅用ブロードバンドが80%。携帯電話加入数は人口の2倍を超す1700万件規模で、うち70%以上が2.5Gおよび3G/4Gの契約者。無料の無線LAN(Wi-Fi)スポットは2万カ所以上となっている。

香港は世界の主要なビジネス拠点であり、国際会議の開催地としての人気も非常に高い。一年間に開催される国際会議および見本市は約300件にも上る。一例として、2005年12月には、香港で第6回世界貿易機関(WTO)閣僚会議が開催され、香港閣僚宣言が採択された。2008年12月には、米国外で初となる「クリントン・グローバル・イニシアチブ」が香港で開催された。

◇インフラ開発

 香港・珠海・マカオ大橋は「主橋」「境界通過施設」「連結道」の3つの部分からなる。今後の香港、マカオ、珠江デルタ西部のさらなる経済発展を促す重要な戦略プロジェクトである。完成すれば、香港と珠江デルタ西部とのヒト・モノの移動に伴う経費、時間が飛躍的に削減される。そして、珠江デルタ地域と近隣地域との経済統合が加速され、珠江デルタ地域の競争力が一層高まると期待される。建設は2009年12月より始まった。

一方、広州・深セン、香港高速鉄道は西九竜から深センをへて東莞、広州までを結ぶ香港区間が全長26キロメートルになる計画で、完成により、移動時間が短縮化される。さらに重要なのは、急ピッチで建設中の全長1万6000キロメートルに達する国家高速鉄道網に連結され、香港と中国本土の経済関係がさらに緊密化されることである。これらの鉄道が完成すれば、香港からの移動所要時間は、北京が10時間、上海が8時間となる。2017年にはすべての工事が完成する予定となっている。

越境交通インフラの整備のほかに、香港政府は域内交通システムの改善、芸術・文化の長期的な振興、快適な居住空間の市民への提供にも取り組む。鉄道輸送の拡大・延長については、西港島線が既に完成し、觀塘線の延長(2015年完成予定)、南港島線(東段)の敷設(2016年完成予定)、沙田~中環線の敷設(2021年完成予定)が、それぞれ進められている。また政府は全人口の約75%、雇用機会の約85%のエリアをカバーする鉄道網を2031年までに敷設する計画を「2014年鉄道開発戦略」において明らかにした。また啓徳空港跡地に、クルーズ・ターミナルを建設中で、最大22万トン級のメガクルーズ船を二隻、停泊させることができるバースを二つ備えている。

香港国際空港(HKIA)は世界でも最大規模の貨物輸送空港であり、同時に世界10位以内に位置する乗客輸送空港であるため、数年以内に処理能力が限界に達する見込み。行政会議(長官の諮問機関)は空港の滑走路を3本にすることを認可し、香港機場管理局は2023年完成を目指し、2016年から建設開始予定。

港湾については、政府は「香港港湾発展戦略2030調査」と「青衣南西部第10コンテナ・ターミナル(CT10)開発に向けた事前事業性評価」の調査結果を発表した。これによると、香港のコンテナ処理量は今後も引き続き拡大が見込まれる。2030年までのコンテナ処理量の増加に対応するため、コンテナ・ターミナルの処理能力およびインフラの強化が必須となっている。改善措置としては、昂船洲の荷卸しエリアを先進的なコンテナ処理施設に更新し、遠洋蒸気船または河川船舶用として利用すること/現時点で遠洋蒸気船の停泊が可能な河川船舶用バースを両タイプの船舶の併用施設とすること/葵青コンテナ・ターミナルのバース増設によりコンテナ貨物増加に対応すること/コンテナ周辺用地やその他施設の活用により運営効率を引き上げ、将来の貨物増に対応すること――などが含まれる。

 

 

Wenda Ma

 

 


【注】本稿は英語・中国語の原文を参照して作成した日本語版であり、全文を対訳したものではありません。また、原文の最新の更新が反映され ていない場合がございます。ご利用いただく際は、原文もご確認いただくようお願い申し上げます。