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地域:日本


2014年7月3日
香港の繊維産業情報

2014年5月28日

香港の繊維産業

概要

  • 中国本土と香港は、2005年10月、中国本土・香港経済貿易緊密化協定第3段階(CEPA III)に基づき、香港企業に対して本土市場をさらに自由化することに合意しました。CEPA IIIで中国本土は、2006年1月1日以降、繊維を含むすべての香港原産品にゼロ関税を適用することに同意しています。
  • 香港の繊維産業は、香港の衣料メーカーだけでなく、本土や他の海外生産拠点に製品を供給しています。多くの香港企業は、繊維製造における長い実績を生かし、繊維貿易にも従事しています。香港の繊維産業は、品質の高い先染めおよびプリントファブリックのサプライヤーとして定評があります。綿糸紡績、デニム生産のほか、ホールガーメントニットやファインゲージコットンニットの製造も盛んです。
  • 香港の繊維輸出高は、2013年には2%とやや増加し、2014年の最初の2か月で5%減少しました。同じ2か月、総輸出高の99%近くを占める再輸出は4%減少し、国産品の輸出は18%減少しています。再輸出品の72%以上は中国本土の原産です。
  • 香港の主な繊維輸出市場はアジアで、繊維総輸出高の92%以上を占めます。繊維輸出先の上位10か国・地域のうち9つはアジアにあり、中国本土が最大です。

産業の特徴*

 

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* 産業統計データの対象は香港での生産に限られます。
** 糸から生産するニットウェアを除きます。

紡績、織物、編物、ファブリックの仕上げを含む繊維産業は、2013年12月時点でメーカー679社で構成され、香港の製造業従事者の4.5%に相当する4,658人を雇用しています。繊維産業は香港の主要輸出産業の1つであり、2013年には総輸出高の2.3%を占めています。

近年、生産コストの上昇と厳しい環境規制により、多くのメーカーがローエンド製品の生産拠点を中国本土および東南アジア諸国に移動しました。香港での製造業務は、高品質のリングスパン、オープンエンド糸、ファインゲージのニットファブリック、複雑な染色やプリントのファブリックなど、高度で付加価値の高いものが中心です。

世界市場での競争力を高めるため、中国企業と戦略提携を結ぶ香港の繊維会社もあります。例えば、一部の企業は、本土の綿供給会社と協力し、コットン素材を生産しています。

香港の繊維産業は、香港の衣料産業にとって重要なサプライヤーです。地元で繊維を生産し、香港の衣料メーカーの注文に短時間で対応できる利点を持つためです。また、繊維輸出の大半は、香港のメーカーの国外の衣料生産拠点、特に中国本土での利用を目的としています。

香港の繊維輸出業績

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* 微量

オフショア貿易は通常の貿易収支に現れないため、上記の数字が必ずしも香港の企業の輸出事業を反映しているとは言えません。

香港の繊維輸出高は、2013年に2%増加し、2014年の最初の2か月で5%減少しました。総輸出高の99%近くを占める再輸出は4%減少し、国産品の輸出は18%減少しています。繊維再輸出の72%を占める中国本土原産の繊維の再輸出は、2014年1~2月に4%減少しました。

香港の主な繊維輸出市場はアジアであり、2014年1~2月は繊維総輸出高の92%以上を占めています。繊維輸出先の上位10か国・地域のうち9つはアジアにあります。中国本土は依然として香港の最大の輸出市場であり、2014年1~2月の繊維輸出高の約60%を占めています。

その他の主な繊維輸出先は、ベトナム、カンボジア、バングラデシュ、インドネシア、スリランカ、米国、タイ、インド、フィリピンです。特に、ベトナムは安価な労働力があり、WTO加盟国であることから、香港を含む多くの外国投資家がベトナムに縫製工場を設立しています。これが繊維輸出の持続的需要を引き上げ、ベトナムは、香港にとって中国に次ぐ第2の繊維輸出市場となっています。

製品別では、香港の織編用糸(5%減少)、織物(9%減少)、ニットファブリック(4%減少)、仕上げ用品(5%減少)、敷物(14%減少)の輸出はすべて2014年1~2月に減少し、特殊糸/ファブリックのみ9%増加しました。

販売チャネル

香港は、衣料供給の主要産地であり、世界的ハブでもあります。したがって香港の繊維産業は、香港および海外の衣料メーカーや衣料販売業者に製品を供給する有利な立場にあります。多くの香港の繊維メーカー/商社が、中国をはじめ、アジアの衣料メーカーに製品を供給する一方、国際的な繊維会社は、香港を窓口として自社製品を他のアジア経済に売り込んでいます。例えば、急速に成長しつつあるブラジルのファッション業界は、香港の貿易基盤を利用して中国本土に繊維/アパレル製品を販売しようとしています。

香港の繊維業界は、幅広い高品質製品を大量に生産する能力も、多様な用途に対応する特殊製品を短期間に納品する能力もあります。その競争力は、卓越した品質と、ファッショントレンドや市場需要に対する迅速な反応にあります。独自の品質、専門技術、職人技、柔軟性でも世界的に定評があります。

香港は、バイヤーにとって、新しい流行の素材を一括して調達できる最適な場所です。春と秋の年2回開催されるインターストッフ・アジア・インターナショナル・ファブリックショー(Interstoff Asia International Fabric Show)は、この地域のファブリックメーカーにとってもバイヤーにとっても重要なマーケティング/調達の場です。HKTDC(香港貿易発展局)が運営する香港インターナショナル・ホームテキスタイルフェア(Hong Kong International Home Textiles Fair)には、バスルーム、寝室、キッチン用テキスタイル、カーペット、敷物などの幅広い高品質製品が集まります。この専門的なイベントは、出展企業とホームテキスタイルのバイヤーがアジアおよびそれ以外の市場に参入する近道となっています。

業界のトレンド
  
世界の製造情勢と全般的な競争の激化に合わせ、香港の繊維産業は、バリューチェーンを遡り、独自のデザインやブランドによって高級繊維製品に対する需要に対応してきました。現在、香港の繊維産業は、すべてではないにしても、付加価値の高い活動、すなわち販売/マーケティング、品質管理、デザイン/開発の業務に重点を置き、生産は海外工場で行っています。これが、香港の繊維輸出における再輸出(ほぼ99%)の高い割合につながっています。

中国本土における賃金の上昇、人民元の高騰、原材料価格の変動、厳しい環境規制により、多くの香港の繊維メーカーは、生産拠点をベトナム、カンボジア、バングラデシュなど他の東南アジア諸国に移転しました。北米自由貿易協定(NAFTA)、EUの一般特恵関税制度(GSP)など、地域的な貿易協定の優遇措置を利用するため、ラテンアメリカ(メキシコなど)やアフリカ(ナイジェリアなど)に海外生産拠点を設けた企業も少数あります。

資本集約型産業である繊維産業は、製造技術の進歩や製品ニーズに対応するため、最新の技術トレンドに多額を投資しています。高度な生産技術は、ほとんどドイツ、イタリア、スペイン、スイス、日本、韓国のベンダーから調達します。自動ウェブスプレッディング、ナノバイオ機能素材、Texparts® Zero Underwindingなどの最新技術は、香港のメーカーにも普及しています。こうして香港の繊維メーカーは、さまざまな繊維、糸、ファブリックを顧客に提供しています。

環境に配慮した製造という世界的なトレンドに対応するため、多くの繊維企業は、環境持続性のための主要な業界任意規格の1つ、bluesign®規格を導入しています。規格に適合するためには、化学処理、染料の成分、環境にやさしい職場に関する取り組みを開示する必要があります。bluesign®規格に加え、Organic Textile Standard(GOTS)、Oeko-Tex® Standard 100またはOeko-Tex® Standard 1000も、環境への配慮を示すものとして繊維製品のラベルによく表示されています。

中国紡績工業協会(CNTAC)は、中国の第12次5か年計画に合わせ、このほど「第12次5か年計画期間における繊維産業の科学技術的進歩の概要」を発表しました。この目的は、中国の繊維産業全体を高度化し、ハイエンド繊維製品の開発を促進することにあります。概要には、技術革新、エネルギー保護、排出削減、業界関連規格の制定、国内ブランドの開発なども含まれています。

 

CEPAの規定

中国本土と香港は、2005年10月18日、中国本土・香港経済貿易緊密化協定第3段階(CEPA III)に基づき、香港企業に対して本土市場をさらに自由化することに合意しました。CEPA IIIで中国本土は、2006年1月1日以降、繊維を含むすべての香港原産品にゼロ関税を適用することに同意しています。規定によれば、既存のCEPA原産地規定のない製品も、地元の製造企業が申請し、CEPA原産地規定の要件を満たせば、ゼロ関税の適用を受けることができます。ただし、香港製以外の繊維製品については、本土輸出の際、引き続き平均10~25%の関税が課せられます。

原産地基準などCEPA関税優遇措置の詳細は、http://www.tid.gov.hk/english/cepa/tradegoods/files/mainland_2014.pdfをご覧ください。

繊維の輸出に影響を与える一般貿易協定
  
2005年にWTO加盟国間の繊維割当が撤廃されたにもかかわらず、米国とEUは、その後、中国本土からの輸入品に対してセーフガード措置を適用しました。ただし2009年1月1日からは、中国本土が原産地の繊維/アパレル製品については、EU輸入前の輸入許可と審査書類が不要となりました。また、米国向けの繊維/アパレル製品に関しては、2009年1月1日からすべての割当が撤廃されました。

製品トレンド

さまざまな繊維のうち、アパレル市場で最も消費者に人気が高いのは、やはり綿です。国際綿花評議会(Cotton Council International)およびCotton Incorporated社の2014年グローバル・ライフスタイル・モニター調査によれば、「コットン100%」は、ヨーロッパの消費者が衣類を購入する際に影響を受ける可能性の高いマーケティング用語であり、半数以上の英国の消費者は、代用繊維が増加する中で、綿の衣類にはそれより高い値段を払っても良いと回答しています。

製品革新という観点から見れば、マイクロファイバーが繊維メーカーの注目を集めています。マイクロファイバー製品の最大の利点は、その軽量性と保温性です。マイクロファイバー以外にも、多くの革新的な繊維や生地がさまざまな分野で求められています。このようなニーズに対応するため、高い通気性や柔軟性、抗菌作用、抗紫外線作用、防しわ、防水といった機能を持つ素材や環境にやさしい素材などが数多く開発され、市場に投入されています。

Texworldによれば、今後も技術と革新は常にキーワードになると見られます。高級な織り方やプリントは製造工程の選択に柔軟性を与え、デジタルプリントや職人技の装飾も繊維の順応性を高めます。その一方、消費者はますます個性と独自性を追い、手作りの良さ、個性的な見た目、すばらしい手触りが引き続き求められると思われます。太陽光発電機能を持つ繊維で作られ、携帯電話のバッテリーを充電できるソーラーパワーハンドバッグ、あるいは炭素排出の変化を感知し、伝導性の糸とLEDで光のパターンを作り出す「クライメート・コスチューム」は、テクニカルテキスタイルが将来の繊維産業を形づくることを示す例です。

消費者、特に西ヨーロッパ、米国、日本のような先進市場の消費者は、オーガニックコットン、大豆繊維、ピースシルクといった生分解性天然繊維の環境にやさしい特性を非常に重視します。このトレンドに乗り、メーカー各社は、生分解性の高い原料を使用し、経営の効率化、工程管理、特殊工程、廃水のリサイクルなど、環境にやさしい製造工程を採用したグリーン繊維の生産も拡大しています。

環境に対する意識の高まりに加え、先進市場に限らず、新興市場でも、消費者にとって製品の安全性は依然として大きな問題です。例えば近年、中国本土では、pH値やホルムアルデヒド含有量が基準を満たしていない、使用禁止のアゾ染料を含むなど、不適格なアパレル生地が数多く報告されています。また、従来の市場では、例えばEUの非食品を対象とした緊急警告システム(RAPEX)で、2013年に通知されたすべての危険製品の25%が繊維、アパレル、ファッション製品であり、集合的な是正策を要する主要製品カテゴリであることが明らかになりました。

中国本土では、都市化に加え、結婚、ベビーブームにより、ハイエンド家庭用繊維製品の需要が急速に拡大しています。今後10年、家庭用繊維製品の年間成長率は20%を上回ると報告されており、繊維需要のトップはアパレル業界に代わって家庭用製品になると予想されます。

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